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執筆者の写真北島コウ

正解のある問題とない問題

皆さん、こんにちは。

最近、知人に薦められて、「全米ナンバーワンビジネススクールで教える起業家の思考と実践術 -あなたも世界を変える起業家になる」(山川恭弘著、東洋経済新報社刊)という本を読みました。

これは、突然、勤務先が倒産するという事態に見舞われた青年、新田一歩が、謎の男(実は米国の起業家教育の名門、バブソン大学で教鞭をとる人物)から様々な教えを受け、本当に自分のやりたいことを発見し、起業家の道を進むという小説仕立ての啓発書です。

バブソン大学というのは、知人から薦められたときは気付かなかったのですが、そういえばトヨタ自動車の豊田章男会長もここの卒業生で、以前に卒業式でスピーチをされたYouTubeを見て、ちょっと感動したことを思い出しました。


◇YouTube:豊田章男会長の米国バブソン大学卒業式スピーチ


ちょうど、このデジタルビズの起業に取り組み始めた私としては、この本を読んでいろいろと感じることがありましたので、今回はそのことを少し書きたいと思います。



リスクと安全とを反対向きの矢印で示すイメージ写真

失敗を恐れすぎる社会

本書にも書かれていますが、日本人は諸外国に比べて、起業する比率、あるいは起業に対する意識が極めて低いそうです。

本書より引用した、日本人の起業に対する意識や意欲が低いことを示すグラフ
本書より引用

このことは、中小企業白書などの他のデータでも、同様の傾向が見て取れます。


◇中小企業白書(中小企業庁、2020年版)図1-3-43、44参照


なぜなのか。

理由はいろいろと考えられますが、失敗するリスクを恐れる意識が強すぎることが一つの要因と言われています。

学生さんの就職先人気ランキングでも公務員が上位にくるなど、若い方々にとって「安定性」ということがかなり重要なファクターとなっているように思われます。

それも一つの考え方で否定してはいけないのでしょうが、リスクを背負ってでもチャレンジするという気概の少ない社会には、成長が望めなくなることを危惧します。

私が今年3月に定年退職した会社(通信事業者)は、今でこそ売上高数兆円の大企業ですが、私が大学を卒業して入社した36年前は、従業員約200人、創業したばかりで売上高はほぼゼロというベンチャー企業でした。

当時、電電公社が現NTTに民営化されたのに対し、その競争会社として設立されたばかりで、「巨象対アリの戦い」などと言われ、「すぐに潰れる」などと揶揄されていたのです。

今から思えば、ずいぶん無謀な、いや冒険的な就職でした。

当時はインターネットや携帯もなく、情報がほとんど無かったからこそ、思い切って飛び込めたのかもしれません。

むしろ今のように情報が溢れていると、様々な世間の評判が気になって、勇気をもってチャレンジすることができづらいかもしれないですね。

情報が少なかったせいもあるでしょうが、世間が言うほどに、自分としてはリスクを感じていなかった気がします。

今後の高度情報社会の発展を考えれば、絶対伸びていく会社だ、という確信がありました。

本書の中でも、「リスクは相対的なものである」と書かれています。

例えば、「マーケットのニーズが無い」という点がリスクだったとします。

ですが、現在の需要が見えないのはやっている人がいないからだけであって、実は競合がいないというメリットなのかもしれません。

事実、私が入社した創業間もない通信事業者は、アリのような存在だからこそ、巨象NTTには考えつかないような様々な工夫で業績を伸ばし、それが情報通信市場そのものの発展にも寄与してきました。

私はその後も、幾つかの新規事業立ち上げプロジェクトにも取り組みましたが、会社創業時の経験をベースに、常に「創造的な仕事をしよう」という意識でやってきました。

以前の記事で書いた「パッケージソリューション」も、今でこそ当たり前ですが、当時はかなり奇異な考え方だったようで、批判もされましたが、自分としては確信めいたものがあり、一緒にやってくれる仲間たちがいたおかげで進めてくることができたと思います。


◇過去の記事「基本に徹することの重要性」(2023/4/17)


誰もやっていないからこそ、自分が第一人者になれる!

チャレンジすることは楽しい!

私はいまこの歳で、新たな事業立ち上げにチャレンジしようとしていますが、とてもワクワクしています。

ぜひ多くの若者たちにも、SNSでなんだかんだ言われたとしてもあまり気にせず、失敗を恐れずに、チャレンジしてもらいたいです。


スタートアップを示すイメージ写真

正解のある問題とない問題

私は今年、行政書士試験に合格し、気を良くして、他にも何か資格試験に挑戦しようかと考えましたが、やっぱりやめました。

資格を取ることは重要ですが、試験というのは結局のところ、正解のある問題を解く行為です。

実際の世の中は、正解の無い問題だらけです。

それどころか、問題が何かすら分からない、まず問題が何かを考えるところから始まるのが、現実の社会です。

私自身、これまで企業人として、問題の本質は何かと考え、その課題解決に取り組むように心がけてきました。

それは正解のある入学試験や資格試験を解くことと違い、はるかに知恵や創造性、問題解決能力が求められます。

私の残りの人生は、あと20年か、30年か、40年か・・・。

だんだん短くなってくる時間を考えたとき、正解のある資格試験にまた数年を費やすよりも、正解のない問題の解決を、お客様と一緒に考えるほうが、はるかに生産的だと思いました。

本書の中でも、決めつけや正解よりも、新しさや可能性を探る想像力こそが新たな価値を創造できる、と書かれています。

また、失敗を恐れず挑戦することの重要性が繰り返し強調されています。

大成功の裏には必ず大失敗があり、究極の失敗は挑戦しないことである、とも。

正解の無い問題を解こうとすれば、一度ではうまく解けないのは当然ですが、それをチャレンジし続けることで、きっと大きな成果が生み出せるのだと思います。

私のデジタルビズ事業はまだ始まったばかりですが、いずれ必ず価値を生み出して、社会に貢献できる存在になると、本書を読み、改めて強く思った次第です。

それでは今回はこの辺で。


 

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