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人口減少社会を乗り越えろ、IoT技術について

執筆者の写真: 北島コウ北島コウ

皆さん、こんにちは。

IoT(アイオーティー)という言葉を聞いたことはありますか?

もうかなり長く使われている言葉で、Internet of Thingsを意味し、「モノのインターネット」と訳されています。

通信やインターネット業界では常識ですが、一般的になじみのある言葉ではありませんので、今日はこのIoT、そしてこれを支える通信技術LPWAについて、紹介したいと思います。

私の考えでは、様々なモノに通信機能を組み合わせることで、ヒトが行う作業を減らすことができますので、これからの人口減少社会を乗り越える意味でIoTはさらに大きく活用されていくと思います。

中小企業様にとっても、手軽に扱えるIoTソリューションの活用で、新しいビジネスにチャレンジするきっかけになる可能性もありますので、参考にしていただけるのではないでしょうか。

IoTのイメージ写真

IoTとLPWAについて

IoT、「モノのインターネット」とは、様々な機械の中に通信機能を内蔵させて、インターネットにつなげることで、インターネット経由でその機械をコントロールする仕組みのことです。

身近なところで言えば、エアコンに通信機能(Wi-Fi)が内蔵されて、外出先からスイッチをON/OFFできるとか、同じくテレビに内蔵された通信機能で外出先から視聴や録画の予約ができるとかいうのも、IoTの一種です。

家庭のような数十~数百メートルの範囲なら、Wi-Fiでインターネットにつなぐことができますが、もっと広い範囲になるとWi-Fiでは電波が届きません。

そこで登場するのが、LPWA(Low Power Wide Area、エルピーダブリューエー)という通信方式です。

IoTで通信される情報の内容は、電源のON/OFF信号とか、センサーで検知された数値とか、普段、私たちがスマートフォンで動画の配信を見るなど、大量のデータを通信しているのに比べると、ケタが3つも4つも違う少量の通信です。

従ってごく小さいデータ量しか通信できないが、小電力かつ広いエリアで安価に利用できるようにしたのが、LPWAという通信方式です。

通信料金は、通信方式やデータ量によっても違いますが、月額数百円とか、場合によっては10年で2,000円とか、通常のスマートフォンでの料金に比べると格段に安い料金で利用できます。

具体的に、このLPWAがどんなところに活用されているのか、まず大手通信キャリアにおける事例を紹介しましょう。

IoTによって様々なものがネットワークにつながるイメージ写真

通信キャリアにおけるIoT展開事例

例えば建設会社が行うダムや橋、道路などの建設において、クレーンなどの重機械の操縦が必要になりますが、近年の人手不足により、こうした重機械を操縦できる熟練技士が足りなくなっています。

こうした課題の解決のため、NTTドコモは建設機械メーカーのコマツとともに、株式会社EARTHBRAINを設立し、建設現場のデジタル化「Smart Construction」に取り組んでいます。

 

◇Smart Construction

 

ここで使われている技術の一つが、重機械にLPWA通信機能を組み合わせて、遠隔操縦できる仕組みです。

IoTではLPWA通信に対応した通信モジュールを、機械に内蔵して制御します。

これにより山奥の建設現場であろうと、危険な災害現場であろうと、別の場所、例えば首都圏に設置されたコントロール室から全国の現場の重機械を遠隔操作し、作業を行うことができます。

3K(汚い、キツい、危険)と言われる労働環境を改善し、また少ない人員で多くの現場を一括してコントロールできる技術として、期待されています。

また、高齢化と人手不足に悩む農林水産業においても、IoTが活用されています。

福井県の小浜市は、かつて鯖(サバ)漁で有名でしたが、近年は漁獲高が激減していました。

そこで、KDDIが地元水産業者や研究機関と共同し、2016年から「鯖、復活プロジェクト」として、IoTなどを使った鯖の養殖事業に取り組んでいます。

 

◇KDDI「福井県小浜市『鯖、復活』養殖効率化プロジェクトの今」

 

ここでは養殖いけすの水温や酸素濃度、塩分濃度などをセンサーで計測しクラウドに記録したり、自動給餌機で効率的にエサやりをしたりする部分にLPWA通信が使われています。

KDDIでは、イノシシやシカなどを捕獲する野生鳥獣被害対策にも取り組んでいますが、こうした山奥や沿岸部など、通常の携帯電話サービスではエリア外となりがちなところで、LPWA通信が必要とされるわけです。

建設機械のイメージ写真

広がるIoT技術

NTTドコモやKDDIでは、LPWAの通信方式にLTE-Mという方式を採用しています。

これはスマートフォンでも使っている4G-LTEの周波数の一部を使って行う通信で、最大1メガビット毎秒の通信に対応するものです。

一方、ソフトバンクは、2社とは異なるNB-IoTという方式を採用しています。

こちらは最大通信速度が60キロビット毎秒程度と、LTE-Mよりもかなり遅く、FOTA(Firmware Over The Air、通信端末のソフトウェアを無線通信経由でアップデートする仕組み)も使えないなど制約がありますが、その分、料金をかなり抑えて提供しているようです。

 

◇ソフトバンクのIoTサービス

 

また、例えば株式会社ソラコムという会社は、様々なIoTデバイスを開発するメーカーであり、かつNTTドコモおよびKDDIのMVNO(仮想通信事業者)としてLTE-M方式によるLPWA通信サービスもパッケージで提供しているようです。

 

◇ソラコムのIoTストア

 

機械に内蔵するモジュールだけでなく、単体の端末製品もあるため、手軽にIoTを試してみたいという場合にはお薦めかと思います。

MVNOは格安スマホを提供するだけでなく、自社製品を組み合わせて特徴的なサービスを提供することにも活用できるという代表例ですね。

スマート農業のイメージ写真

アンライセンスバンドを利用したLPWA

大手通信キャリア以外のLPWA通信方式もあります。

無線局免許が不要なアンライセンスバンドを使う方式で、Sigfox(シグフォックス)とLoRaWAN(ローラワン)が代表的です。

SigfoxはフランスのSigfox社が開発した通信方式ですが、現在はシンガポールのUnaBiz(ユナビズ)という会社に引き継がれ、日本では京セラコミュニケーションシステム(KCCS)が2017年から独占的に提供しています。

昨年からは、株式会社クボタがトラクターなどの農業機械向けに提供している営農支援システムKSASの通信方式としてSigfoxが採用されたそうで、広大な農地における自動運転など、スマート農業向けIoTの通信として広がる動きもあるようです。

 

◇KCCSプレスリリース「クボタが提供する営農支援システム『KSAS』のサービスにIoTネットワークSigfoxを採用」(2024/4/25)

 

LoRaWANは、誰でも利用できるシステムのため、様々なSIベンダーが対応製品を開発し、独自にIoTシステムを構築するのに使われており、一例としてインターネット・イニシアティブ(IIJ)は建設会社 錢高組向けに建設現場の生産性向上を実現するIoTソリューションを構築する実証実験を行っています。

 

◇IIJプレスリリース「高所作業車の稼働状況可視化などにより、建設現場の生産性向上が可能に」(2024/11/6)

 

いかがでしたでしょうか。

大手通信キャリアからSIベンダーまで、様々なIoTの取組みが展開されていることをご紹介しました。

冒頭にも述べたとおり、人口減少局面の日本にあっては、こうしたIoT技術をどんどん活用することにより、人手不足を乗り越え、産業の継続的な発展を図っていくことが必要かと思います。

中小企業様において、こうしたIoT技術の利活用を検討される場合、デジタルビズにご相談いただければ、様々なアイディアをご提案し、実現に向けご協力をさせていただくことも可能です。

それでは今回はこの辺で。

宜しくお願い致します。

 

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